インターネット上に公開されている物件情報の項目も不動産会社からファックス等で取り寄せた物件情報も一定のルールがあります。賃料、保証金、専有面積、階数ばかりに目をとられがちですが、「儲かる物件」に巡り合うためには、見落としてはいけない項目がたくさんあります。各項目から読み取って頂きたいことを中心に説明していきます。

【賃料】…一番のポイントになるところです。希望する賃料より高い設定で募集されていても、賃料の交渉ができるかどうか確認をしてみて下さい。「若干、出来ると思います。」というような未確定的な返答が多いのではないかと思います。中には、他に入居されているテナントさんの手前、減額した募集条件を公開できないだけで、実際は分からないこともあるので、他全体的な条件面含め確認してみましょう。
【保証金】…一般的にテナント物件の場合、賃貸借契約の借主の債務を担保する為に契約締結時に家主さんに預け入れるものを指します。他の呼び方としましては「敷金」という表現もよく使われます。保証金が使われる場合、契約年数に応じて預け入れた保証金が返還される率が変わってきます。長期になればなるほど、預け入れた保証金の返還率がアップしていきます。
なぜ担保として預け入れたものが、退去時不履行がないのに全額返金されないのかとよく質問を受けますが、早期退店により物件自体のイメージが下がることと、アパート・マンションと違って、次の入居テナントが決定するまでは、相当時間を要する為と考えます。
【敷金】…意味合い的には、保証金と同じになります。物件により様々で、解約引きという設定もあり、契約年数に関係なく、契約終了時にある一定の金額を敷金より控除することもあります。特段の表記がなければ、全額返金する場合が多いです。ただ、定期借家契約や、定期借地権設定契約など、本来は貸主、借主互いに契約期間が満了するまで解約できない契約形態の場合、特約に借主からの解約権を持たす場合などは、敷金の返還をしない等のある一定のペナルティが発生しますので、注意が必要です。
【礼金】…敷金とセットする場合が多いです。保証金と礼金がセットされる契約はあまりございません。敷金の解約引きがない場合、最初に礼金というかたちで支払うケースがあります。礼金は、性質的に返金がなされません。
【管理費・共益費】…親切な契約書は管理費または共益費がどのような項目に使用されるかが明記してあります。一例をあげますと以下のようになります。
共益費の内容
・共用部分の電灯・動力料金の電気料金。
・共用で負担する上下水道料金。
・機械設備の運営及び保守料。
・共用部の清掃費。
・防災、保安管理業務費。
【仲介手数料】…契約成立時に不動産会社へ支払う手数料で、賃料の1カ月分以下の金額になります。
【駐車場】…物件自体に駐車場があるのかないのか、郊外店では駐車場は必須で、台数が何台確保できるのか、十分な台数が確保できない場合は近隣で確保できるのか、従業員は止めていいのか、駐車料金はいくらか、他の店舗と共用している駐車場なのか等のチエックが必要です。意外と駐車場のトラブルは入居後多く発生しますので、事前確認に留意しましょう。
【専有面積】…○○㎡(●●坪)と表記されています。文字通り専有することができる面積となりますが、壁及び柱の中心で面積を計算しますので、有効面積は若干少なくなります。あと、100㎡を超える場合、用途の変更が必要になる場合があります。飲食店から飲食店へと用途の変更がない場合は良いかと思いますが、事務所から飲食店へと用途の変更が必要な場合は再内覧時に内装を依頼する業者を連れていき、用途変更に多分の費用がかからないかどうかのチエックが必要です。
【敷地面積】…郊外のロードサイド店舗の場合、席数に対する駐車台数が十分に確保できるかがポイントになります。都心部では、建物がピロティ(2階以上の建物で、1F部分が柱等のみで、他は外部空間になっている建物で、その外部空間を駐車場としても利用できる建物。)になっていて席数に対する駐車台数をその部分で補う場合もありますが、物件資料に配置図等がなく、駐車場が何台確保できるかわからない時は、何台駐車可能か、必ず不動産会社へ確認をとってください。またその敷地を建物使用に付随し駐車場として使用できて、その使用料も家賃に含まれている場合が多いですが、別途使用料が必要かどうかの確認も忘れずしてください。
ロードサイド店舗で単独店の場合、契約書に「本物件を有効に賃借している限り、本物件の敷地の空地部分を駐車場として利用できるものとする。」というような条項が入ってくるのが一般的です。
【交通】…○○駅徒歩△分という表記がされています。1分を実測80mで計測します。例えば、駅徒歩3分という表記がされていますと、駅から約240mのところに物件があることになりますが、メイン道路に面しているのか、路地裏の人通りの少ない場所にあるのかは、わかりませんので住宅地図で確認は必須です。
【築年数】…築浅物件にこしたことはないですが、店舗の場合は内部の設備等残っている場合でも、新築当初からすべて入替がなされているケースの方が多いので、実際に内部の状況をみて判断するかたちになりますが、事務所系は築年数により、共用部、室内仕様等かなりの違いがあります。リノベーションされた物件等は、リノベーションの程度にもよりますが、築年数を感じさせない素晴らしい物件もあります。
また、同じ築年数でも日常のメンテナンスをしっかりされている物件とそうでない物件では見栄えが全然違いますし、事務所系の物件も内覧してみないと判断できないと思います。ただ見栄えは良くても、建築され相当年数が経っている物件の場合、そのことにより希望する店が出来ない場合もあります。この内容は4章のQ&Aで詳しく説明致します。
【契約方式】…「定期」という言葉が使われていると、更新のない契約形態となりますので、注意が必要です。(例:定期借家契約)
【用途地域】…例えば閑静な住宅地の真ん中に、工場が出来ると騒音等で生活環境が悪化し、住居、商業、工業がが混在すると、住みにくく不便な街になってしまいます。そこで、区域を12種類の用途に分類し、用途、規模、形態などを都市計画法に基づき規制をするものです。右表に主な用途制限をあげさせて頂きましたが、用途地域の制限により、検討する物件の地域で、希望する業態の許可がおりない場合もありますので、不動産会社かその地域を管轄する役所の都市計画課に確認をとって下さい。
都市計画区域には、さらに「線引区域」と「未線引区域」という大枠の分類があり、地域によっては、「市街化調整区域」とか「無指定区域」に属する物件に出くわすこともあると思いますが、詳しく述べると大変なページ数になりますので、要点は、希望する業態が運営できる地域かどうかの確認をすることがポイントとなります。
【引込み設備等】…「インフラ」と略される場合もあるかもしれませんが、一般的に電気・上下水道・ガス・その他設備等のことを指します。店舗系物件の場合、敷地内もしくは建物に引込はなされているが、物件内に引込がなされていない物件がまれにあります。また、必要としている十分な容量の電気等が引込めるかは、「募集シート」だけでは判断出来ませんので、内覧時の確認が必要となります。また、飲食店をお考えで排水が浄化槽の場合、浄化槽の処理能力が低く、かつ前面道路に公共下水管が通っていない場合は、やりかえると莫大な費用がかかりますので、事前に不動産会社へ確認をとると内覧するまでもない物件かどうかの判断はつきます。事務所系の物件の場合はこの段階での注意点はトイレ、流し台が共用部なのか、専用部分内にあるかどうかと、男女別にトイレが分かれているかどうかをチエックしましょう。
【間取図】…鉄筋コンクリートの物件の場合、柱が場合によっては1m角の大きさのものもあります。その柱が区画内の真ん中にある場合は、その柱が結構邪魔になりことがあります。また区画内に仕切り壁がある場合、その壁があとから造作された壁なのか、建物に必要な耐力壁なのか間取図では判断がつきませんので、内覧時に確認をする項目として、印をつけておいて下さい。
※耐力壁 地震等による横揺れから、建物の変形を起こしにくくする壁のことで、この壁は取るとこは出来ません。
【契約期間】…「定期」という言葉が使われていない契約形態と、更新料がない物件は、あまり気にして頂く必要はございません。逆に「定期」という言葉が使われている契約形態は家賃の次に重要視して頂く項目で、期間が満了して再契約を希望しても家主さんの同意がなければ、契約を継続することができません。
【更新料】…契約期間に連動します。例えば契約期間が3年という表記の場合、3年毎に記載された金額の更新料を支払う必要があります。通常は更新料がないか、もしくは賃料の1カ月分とする契約が多くなります。
【保証金返還率】…保証金の説明時に少しふれましたが、契約した年数により、保証金の返ってくる金額が変動します。何年以上の契約で何%返金されるかがポイントになってきます。イレギュラーな保証金の返還率としては、例えば前面フロントサッシがどうしても、イメージ通りに加工出来ない場合、かつ退去時家主さんの資産として、原状回復もしない場合、そのフロントサッシをやりかえる費用分(全部または一部)を上積みして、保証金という名目で家主さんにお支払いするケースもあります。もちろん長期間の契約になっても、その費用部分は返還されない契約内容にすることが大半です。
【機関保証】…保証料を借主が支払い、借主の一定の債務を担保する機関で、信用保証会社は、債務者が債務不履行に陥った場合、その残債務を債務者に代わって家主さんに立て替え、債務を精算する契約となります。このことで、債務者の債務が免除されるわけではなく、債務者は、弁済した信用保証会社への返済義務を負うことになります。募集シートには保証会社に加入が必要等の表示がされています。
【火災保険】…建物賃貸借の場合、火災保険は家主さんが掛けるものとお思いの方が大半ではないかと思いますし、実はその通りなのですが、募集シートに記載のある火災保険は、借主の借りている物件内に所有する造作、設備、機械、備品等に対しての時価相当額の総合保険を掛けて頂く意味で、その総合保険の中に通常、借家人賠償責任総合保険が付保されています。例えばガス爆発を起こし壁を大破させてしまった等(重過失の場合は除きますが)、家主さんに対して法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償しますので、ほとんどの物件で加入することが必須になっています。一方、家主さんは、建物の主体構造部分に火災保険を掛けるのが一般的です。
【外観写真・室内写真】…外観写真の掲載がされているものと、そうでないもがあります。写真の掲載がない物件は、家主さんの意向・もしくは同物件内のご入居者様にご迷惑のかからないように不動産会社へ指示している場合もあります。不動産会社から募集シートをファックスで送ってもらうよう依頼するとこの写真部分が真っ黒になって殆ど判別がつかなくなりますので、出来ればメールを受信できる環境があればと思います。
【備考】…物件のセールスポイント等が記載されています。他に重要なポイントは業態の指定もされている場合がありますので、見落とさないようにしてください。よくあるケースが、マンションの1Fが店舗になっている物件で、4件店舗区画があり、そのうち1区画に空きがある場合、現在営業中の3区画と同じ業態、例えば左端の区画に既に美容室が営業している場合、空き区画に美容室は通常入居出来ません。また、におい等の問題で飲食店を不可としている物件も多くありますので、注意が必要です。
借地の場合は、地目、建ペイ率、容積率、私道負担の有無等の項目の表示もあると思いますが、この段階ではその項目に関してはあまり気にして頂く必要はないと思います。
●まとめ
・「家賃」・「保証金」以外の項目の読み取り方が最重要!
・物件シートを見るだけで、検討除外する物件の判断が出来るように!
・記載がない重要項目を見落とすな!
■物件情報