テナントの賃貸借契約を契約する際、各種提出書類や費用など、注意すべき複数の要素があります。契約後のトラブルにならないよう、要点を押さえておきましょう。
契約時には重要事項説明と賃貸借契約書の内容に齟齬や記述漏れがないか確認しましょう。特に特約事項の内容には打ち合わせた決め事を細かく記載しているので、特に注意深く確認が必要です。
賃貸借契約には、「普通建物賃貸借契約」「定期建物賃貸借契約」の種類があります。契約の種類によって契約期間や更新時の注意点が異なるため、契約形態を明らかにすることが大切です。
「普通建物賃貸借契約」とは、契約期間の満了時に自動で契約が更新される一般的な契約形態です。契約更新・再契約手続きの手間を省けるため、中長期的なビジネス展開に向いています。
「定期建物賃貸借契約」は、満了日を迎えると自動的に契約が終了する契約形態です。そのため借主様は『契約満了時に終了・退去するか』について貸主様との間で新しい条件に合意したうえで再契約を結ぶ必要があります。中長期的なビジネス展開を行う場合にはしっかりとした事業計画を基に確認していきましょう。
一般的にテナント契約で必要な費用は次の通りです。
・敷金(保証金):貸主様に預け入れる費用(賃料の●ヶ月分が目安)
・礼金:貸主に返還義務はない。一般的に賃料の1〜2ヶ月分が相場。
契約する物件によっては、礼金が発生しない場合もある。
・共益費・管理費:全体的な管理・共用スペースを管理するための費用
・各種保険料:テナント契約時に加入する保証・保険の費用
・仲介手数料:不動産会社に支払う費用(賃料の1ヶ月分+消費税)
テナント契約に必要な費用は、不動産会社や物件によって異なります。把握漏れによって費用が予算を超えることがないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
●契約前の物件の状態を確認しておく
テナント物件には「スケルトン物件」と「居抜物件」の種類があります。原状回復の要件を満たすためにも、契約前の物件の状態をよく確認しておきましょう。
「スケルトン物件」
スケルトンは「骨組み」を指す言葉です。そこから転じてスケルトン物件は、柱・床・壁・梁などの建物を支える基礎的な部分のみの状態を指します。
退去時のスケルトン物件の原状回復については、原則としてスケルトンの状態にして返却します。ただ、貸主様や次の借主様から同意を得ることができれば、居抜きの状態で返却することも相談できる場合があります。
「居抜き物件」
前のテナントが使用していた設備や内装を、そのまま引き継ぐ形態を居抜き物件といいます。前のテナントの備品を譲り受けている(造作譲渡)状態であることから、退去する際は譲り受けた物すべてを撤去するのが一般的です。
●敷金・保証金の返却について確認する
敷金・保証金は原則として、契約入居期間に応じて、また、原状回復費用や未払賃料などを差し引いた金額が返金されます。
そのため、原状回復や滞納などによって大幅に減らされることもあります。場合によっては、返還されるどころか、追加で費用を請求されることも考えられます。
トラブルに発展しないためにも、どの程度の規模で原状回復を行い、敷金・保証金がいくら返却されるのかあらかじめ確認しておきましょう。
また、契約によっては特約に敷金償却(敷引き)が指定されているケースもあります。
●設備や造作の修理・修繕はどちらが行うのか
一般的にテナントの造作(入居してから取り付けた物で取り外し可能な物)は借主様がメンテナンスや修理を行います。エアコンが前の借主様が残した残置物である場合も、借主様が修理を行うのが原則です。
●雨漏りによる損害はどちらに責任があるのか
雨漏りによって設備や什器が濡れてしまい、損害が発生した際に貸主様が対応してくれない可能性があります。営業を中止せざるを得ない状況であったため、補償金を要求したものの、貸主様が拒否することも考えられるでしょう。本来であれば、雨漏りによる損害の補償は貸主様が行う義務があります。(契約内容に基づく)
これらはあくまで一般的な事項ですので、契約時にはトラブルが発生しないように事前にしっかりと確認することが必要です。

■トラブルを発生させないために